Q:設計のみの御依頼 & 施主様から工務店をご紹介下さる場合

大変恐縮ですが、わたしどもの場合、設計〜現場監理というものは、一体としてご依頼頂けるお仕事を、第一に考えております。

設計のみというご依頼や、一部監理という形ではお引き受けしておりません。

私どもでは、工務店の選定に際しては、基本「“競争”合い見積もり 」を原則としております。その上で、施主様が工務店をご紹介して下さることは大歓迎です。施主様ご紹介の工務店が「合い見積もり」に参加して頂くことで、見積もり競争が施主様目線で一層の透明化が図れる、と考えるからです。

ただ、施主様が工務店を指定される場合は、工務店が施主様とは利益関係にない方や近親者・御友人でない方が望ましいと思います。これは、設計者として行う「見積価格の査定」において「施主様に不利益な見積もり価格」が見受けられる場合とか、施工現場で「施主様に不利益な施工状況」が発生したときなど、設計監理者の立場としては、施主様との人間関係を考えると、そのことが大変指摘しづらくなってしまうからです。

過去に私も友人の家の設計をした折り、さる工務店の(長老の)社長さんから言われた言葉が忘れられません・・・

「大切な友人や親戚の家づくりを依頼された時には”二割増しで請け負って、仕事ぶりは五割増し”の方がいい…なぜなら、一生涯付き合う関係だから、どんなことがあっても絶対にミスできない、引き渡し後もず〜っと満足し続けてもらわなきゃいけない、アソコが気に入らないとか言われた時でも即座にやり直しできるだけの”体力”が必要だから…」

・・・長らくこの業界にいる身としては分かる気がします…。

「友人だから、親戚だから…という甘え」、或いは「文句があれども言いづらい」ことが起こり得る….かと思いますが、如何なものでしょうか?

大変恐縮の次第です。

※施主様の親しい方、身内の方が建築工事の各種専門業者さんの場合で(サッシ硝子工事とか、設備・電気工事とか、コンクリート製造関連業者…etc.)、施主様がその専門業者さんを指定・紹介されるケースは、これまで幾度もありました。

そのようなケースは、工務店に合い見積もりの参加依頼する際に、「施主様指定・紹介の専門業者」ということで各工務店にご紹介するようにしています。施主様紹介の業者さんには、工務店の采配のもとで見積もり〜工事に携わって頂きます。

或いは専門職種によっては、最初から工務店の見積もり・契約とは切り離した「別途工事」扱いにして、施主様と直接金銭的なやりとりをして頂く、という場合もあります(現場の安全管理や技術能力などの点で請負工務店との調整〜了承は必要です)。これまでの事例では、施主様が各種専門業者さんをご紹介下さる場合は、むしろ施主様にとって”利益”になることの方が多いようです。