Q:設計・監理業務の委託とは
一般的に「建築設計・監理業務委託契約」とは・・・・発注者の委託本旨に従った相当程度の自由裁量と善良な管理者の注意義務を持って、専門家としての能力を発注者のために遺憾なく発揮するよう業務を行う、という契約です。そしてその業務処理の報酬として対価が支払われるものです。その契約においては、どの様な内容の業務(設計)を行うか、どの様に業務(設計)をすすめるか、どの様な報酬の取り決めなのか、に関する取り決めを行います。
建物本体の工事請負契約との違いは、工事請負契約の場合は「特定の建物の完成を約して完成した仕事に対し報酬としての対価を払う」という契約に対して、設計契約の場合は「どの様な内容の業務(=設計)を行うか、に関する取り決めを行ない、その業務処理の報酬として対価が支払われるもの」です。
請負とは違いは、業務を発注者との話し合い、研究の中で創り上げていくということになるのです。従って、設計契約の場合は「請負」ではなく、「委任もしくは準委任」といわれ、専門家としてのノウハウを、依頼者の利益のために遺憾なく発揮し、依頼者の希望が形(設計図)になるように、手助けするという内容の契約なのです。
お客様の希望がどの様な形(設計図)で実現できるかは、依頼される専門家個人の個性によって異なるものです。ですから、まずはお客様が、専門家としての設計者の個性(=デザインスタイル・コンセプト)をよく御理解して頂いた上で依頼されることが大切です。
設計者が、お客様の御要望に基づいて行った建築デザインの結果の善し悪し、建築の使い勝手の善し悪しなど、これらの判断には常にその人の感性・主観が伴うものです。その人の感性・主観が違えば、見解の相違にもなりえますが、このような問題は「*設計上の瑕疵」とは異なります。万が一この様な「見解の相違」がおきてしまわないように、お客様との信頼関係の構築、感性・価値観のすり合わせ作業の努力、或いは工事施工者との三者相互信頼関係というものは大変重要なことです。
叉、建設現場における工事の方法・手順・安全衛生措置・工事の遅延、或いは仕上がりの程度問題など工事施工者の責任によって生じる委託者の損害については、監理業務受託者はその責任を負うものではありません。
「*設計上の瑕疵」とは:概して、設計者が作成した「設計図書」に問題があり、その設計図通り施工された結果「棄損・危害」が発生した(する恐れがある)場合。委託者からの明確な要望や規格・性能を求められたにも関わらず、それらが満足されていない場合、等々。